アンティークのカメオです。
男性のバストアップを描いたハードストーンカメオに
重厚感のあるゴールドを合わせ、リングに仕立てています。
地金部分は19世紀半ば頃製、カメオはそれよりも
製作年代の古い可能性があります。
半透明の赤褐色を背に、乳白がかった同系色を主として
人物を彫り出しています。
一般的にストーンカメオといえば、例えば黒色と白色の
層をもつオニキスなど、コントラストの際立つ作品を
思い浮かべる方も多いでしょう。
こちらの作品は色の大別はできるものの、光にかざすと
背景には濃淡が現れ、髪の一部や顎辺りの色もわずかに
赤く、あるいは白くと複雑な色合いを呈しています。
陽刻部を横から眺めると、人物の胸部と頭部には明らかな
高低差があり、また同じ頭部でも額と顎先の高さは
さらに異なります。
色の変化と、物理的な高さの差との相乗効果で、人物の
姿がまるで立体造形のように浮き出して見えるのです。
描かれている男性は、その風貌から推測するに古代ローマの
皇帝や、哲学者などでしょうか。
人物のカメオでは横顔が描かれることが多く、ほぼ正面に
近い構図はめずらしいと言えます。
温かみと落ち着き、どこか知的な印象もある素材には
モチーフとしての選択も大変よく合い、フレームや
シャンクのデザイン、彫りの良さ等全体のバランスが取れた
優れた作品です。
人物鼻先の小さなキズは、作品の完成度を損なわない
程度と考えます。
年代 1800年代頃
国 ヨーロッパ
素材 アゲート ゴールド
サイズ 14号
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