Christian Dior パール×レッドエナメル ネックレス

ヴィンテージChristian Diorのネックレスです。
裏側のサインから1950年代、MITCHEL MAERによる
作品であることが分かります。

MITCHEL MAERは1952年から1956年の限られた期間、
フランスのメゾンDiorの、イギリス市場向け
コスチュームジュエリー製作を担っていました。
とはいえジュエリーデザインの全てをMITCHEL MAERが
行っていたわけではなく、一説によると、フランスで
基本的なデザインがなされた後、MITCHEL MAERの手により
更なるブラッシュアップを経て完成に至ったものも
多く存在しているようです。

当作品のメインとなるのは、赤く艶やかなオーバル型の
エナメルモチーフ。
裏側には "france" の文字が入り、おそらくリモージュ
エナメルだと考えられます。

フランスの都市リモージュの地において、陶磁器よりも
長い歴史と伝統を持つエナメル工芸。
その最盛期はルネサンス期、14世紀から16世紀辺りまで
遡り、19世紀頃のジュエリーからも並々ならぬ美しさや
高い技術力が伝わります。

アンティークジュエリーへの造詣が深いMITCHEL MAERは
当然その事実を把握していたでしょう。
鮮やかなエナメル使い、半分にカットした
ハーフパール様の模造パールと花びらのような爪留め、
メタルチェーンのフリンジ。
それらはまさに19世紀ヴィクトリア期のジュエリーの
特徴で、さらにいえば、その当時流行した中世
リバイバルジュエリーの雰囲気も持ち合わせています。

フランスとイギリス、そして中世から1950年代までの
スタイルと、MITCHEL MAERに付随する様々な要素が
融合した、大変興味深い作品だといえるでしょう。

何よりガラス質のエナメルは、特有の光沢と半透明の
質感が他にはない魅力を誇るものの、焼き付ける製作
工程やジュエリーへの加工時に大きな破損の可能性を伴う
大変難易度の高いパーツです。
それでもなおこれだけのサイズのエナメルを敢えて
取り入れた姿勢からは、いかにMITCHEL MAER、そして
Christian Diorが強いこだわりを持って "Diorの
コスチュームジュエリー像" を追求していたかが
うかがえるのです。

留め具に "CHRISTIAN DIOR BY MITCHEL MAER" のサイン。

フリンジ先端のパール一つの欠損は、作品全体の
完成度に影響を与えないものと考えます。

年代  1950年代
サイズ 長さ約41cm(内アジャスター部分約5cm含む)

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型番 dj22003
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