ヴィンテージ ダイヤモンド ルビー ゴールド クラスター リング

ヴィンテージのリングです。
中央のダイヤモンド一石を、十石のルビーがぐるりと取り巻く
お花を象ったクラスターデザイン。

フラワーモチーフのリングは現代においても大変人気が高く、
ダイヤモンドとルビーの組み合わせもまた同様です。
そういった意味では一般的なリング、と位置づけられるかと思いきや、
アンティーク、ヴィンテージの観点から見ると、いくつかの
興味深く、ユニークな点に気がつきます。

まずは中央のダイヤモンド。直径は約6ミリ、メインとして据えるに
値する十分な大きさです。
リングの製作時期はおそらく1930年代から40年代頃ですので、
用いるダイヤモンドは20世紀に入りよりカットが整い輝きを増した
ブリリアントカットや、もう少し古い時代の主流オールド
ヨーロピアンカット、あるいはローズカットの可能性もあるでしょう。

ところが、こちらのリングのダイヤモンドは、石の上部を平らに、
周りを台形型にカットしただけの非常にシンプルなものです。
さらに裏側も平面で、石と裏側を覆う地金との間には銀色の
フォイルが挟まれているように見えます。

通常表側がこのカットの場合、裏側にもカット面を設けたシングル
カットダイヤモンドとなり、石のサイズも小さなものが多いです。
裏面の形状やセッティング方法も寧ろローズカットである方が
合点がゆき、これだけのサイズのダイヤモンドに当カットを施し、
メインストーンとしているのは異例だと考えられます。

正面から見る印象は、所謂ダイヤモンドと聞き想像するきらきらとした
細かい煌めきとは全く異なる、まるで静けさを纏ったような輝き。
高い透明度も相まって、吸い込まれる程に磨きこまれた鏡や、
光と潤いを湛えた水面を連想させます。
ダイヤモンドのカットには元々の大きさや内包物など様々な
要素が影響するため、どのような経緯でこのカットに
行き着いたのかは定かではありませんが、結果として現代の
ダイヤモンドにはない、ヴィンテージらしい味わいのある雰囲気が
見事に表現されています。

メインストーンとは対照的に、ぱっと明るく、華やかな彩りを
添えるルビーは、おそらくシンセティック(合成)でしょう。
主に1900年代初頭、とりわけアールデコ期以降の作品で鮮やかな
カラーリングや色、形、数量調整等の目的で、時にハイクラスの
ジュエリーにも好んで用いられたシンセティックルビーもまた、
この時代の作品ならではの重要なアイテムの一つです。

ダイヤモンド周りの地金に、プラチナやホワイトゴールドといった
石の色や輝きを増幅し際立たせる白色の金属ではなく、金色の
ゴールドが使われているところも注目のポイントです。
この特異なダイヤモンドの輝きをありのままに提示する意図か、
あるいはそれだけ存在感のある石だということの証明とも
受け止められます。

フラワーモチーフを引き立てるシンプルなシャンク、ゴールドを
贅沢に使いつつ、効果的に透かしも取り入れた王冠風の台座等、
全体のバランスにもヴィンテージジュエリー特有の個性と、
繊細な美意識が表れています。

年代 1930年代〜1940年代頃 
国  ヨーロッパまたはアメリカ 
素材 ダイヤモンド シンセティックルビー(推定) ゴールド
サイズ  10号 サイズ直しについて

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型番 gj22012
販売価格
398,000円(税込)
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