アンティーク L.LEXCELLENT アールヌーヴォー シルバー ローズ ブローチ

20世紀初頭製のブローチです。
サインからフランス・ナンシーのジュエラー、L.LEXCELLENT社の
作であることが分かります。

当時西欧の美術、工芸界を席捲していたのはアール・ヌーヴォー、
人物や植物のモチーフを、曲線を多用し非対称的に描き出す、
優美で装飾性にあふれた「新しい芸術」様式でした。

中でもその隆盛に多大なる影響を与えたガラス工芸家、
エミール・ガレやドーム兄弟はナンシーを中心に活動しており、
彼らが率いる「ナンシー派」と呼ばれる一派の存在からも
ナンシーの地とアール・ヌーヴォーとの関わりの深さを
うかがい知ることができます。

L.LEXCELLENT社がナンシー派の一翼を担っていたかどうかは
定かではありませんが、ナンシーのジュエラーとして、当然の
ごとくその大きな流れの中にあったことは間違いないでしょう。

柔らかく、くるんと丸まりつつ集まった花びら。
ふっくらと立体感のある蕾。
すっと伸びる茎と広がる葉、そして15センチにも届こうかという
ブローチとしては異例の大きさ。

野に咲く一輪のバラそのものといっても過言ではないその姿は、
同時に、ナンシー派の自然主義思想をも端的に表しています。

高い写実性を備えた花々のジュエリーは、当時LEXCELLENT社に
限らず、近隣のジュエラーでも製作されていました。
とはいえその全てが現代でも十分な評価に値するかといえば、
残念ながらそうではないのかもしれません。

しかしながら描写力、デザイン性、裏側の細工、ブローチ針の
作りなど、L.LEXCELLENT社による今作の素晴らしさは群を
抜いており、同社の作品が世界的なオークションハウスで
取り扱われていることもまた、社の力量を裏付ける大きな要素と
いえるでしょう。

"L.LEXCELLENT" のサイン有。

年代  1900年代初頭頃
国   フランス
素材  シルバー
サイズ 約14.5cm×6.5cm

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型番 gj22013
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