アンティーク Marius Hammer ブルー エナメル シルバー ブローチ

アンティークのシルバー製ブローチです。
裏面のアルファベット "M" をアレンジしたサインから、
ノルウェーのジュエラー、Marius Hammer の作品で
あることが分かります。

Marius Hammer はノルウェーの金細工師の家に生まれ、
ドイツでの修行を経た後、再び生地にて様々な銀器や
カトラリーの製作に携わりました。

中でも1900年代初頭の工房の広告に

「Norwegian Filigree & Enamelled Jewelry
(ノルウェーのフィリグリーとエナメルジュエリー)」

と具体的な記載があるように、同種の作品には相当の
自信を有していたことがうかがえ、今作にもその
根拠は明らかだといえるでしょう。


複数のパーツから構成され、チェーンやモチーフが
下がり揺れる全体のデザインは、ノルウェーの伝統的な
ジュエリー "Solje" に由来するものと考えます。

メインの楕円に似たモチーフ上部の王冠風突起や、
渦巻く銀線細工、フィリグリーも "Solje" に多く
見られるものです。

そしてもう一つの特徴、エナメルもまた凝った作りです。
地金の彫り模様を透かして見せるギョーシェと
プレーンを使い分け、彫りの方向やパーツの形状にも
バリエーションを持たせることで、より複雑な
表情と華やかさを演出しています。


今ブローチは1900年代初頭頃の作と推測しますが、
当時ヨーロッパではかの有名なファベルジェによる
エナメル作品の数々が大変な人気を博していました。

エナメルの鮮やかな色やギョーシェの取り入れ方を
見るに、おそらく Marius Hammer も大いにその傾向を
意識していたと考えられるでしょう。
それはノルウェーのみならず、イギリス等他国市場での
商品流通を試みていた Marius Hammer にとっては、
当然のことといえるかもしれません。

伝統と流行の融合に取り組む職人の努力の痕跡と
その結果残された個性的で美しい作品は、未だ多くに
触れる機会の限られた北欧アンティークの世界を、
ぐっと身近なものにしてくれるようです。

裏側にメーカーズマークと、"930S" の刻印。

年代  1900年代初頭
国   ノルウェー
素材  エナメル シルバー
サイズ  約6.8cm×3.8cm

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型番 gj23002
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