十石のダイヤモンドを用いたピアスです。
19世紀初頭頃、ジョージアン期の作品と推測されます。
メインにローズカットのダイヤモンドを据えたフラワーモチーフ、
葉と茎も添え一輪の花全体の姿を表現しています。
当時好まれた自然主義的なモチーフを、同様に人気を博した大ぶりで
下がり揺れるデザインにまとめ仕上げたものです。
きらきらと光を反射する水面を思わせる、透明感にあふれ強く、滑らかな
輝きを見せるダイヤモンド。
後世と比較しダイヤモンドの入手がより困難であった時代的な背景、
またペアシェイプのユニークなフォルムが上手に生かされている
ことからも、デザイン先行ではなく、おそらく石ありき、石を主役にして
全体のデザインが考えられたのでしょう。
ローズカットダイヤモンドは小さなものが、葉にも埋め込むように
一石ずつ飾られています。
モチーフを形作る銀細工もまた秀逸です。
まずペアシェイプダイヤモンドの縁を包み込むように枠を製作、さらに
透かしを設けたデザイン性の高い爪で、その枠ごと支えます。
正面から眺めると、縁や爪の突起が石の周りを点々と輝きながら
取り巻いているようで、ダイヤモンドの煌めきがより引き立てられるのです。
葉の部分は三つのパーツをそれぞれ別に作り、一つずつ土台に差し込み
組み合わせています。
そうすることで葉一枚一枚の繊細な表現が可能になり、また花部分との
立体感のバランスも考慮してのことなのでしょう。
針の根本部分にはスターモチーフ、その中央でローズカットダイヤモンドが
きらりと輝きます。
裏側は金属に覆われたクローズドセッティングでゴールドを合わせた
特徴的な作りです。
ジョージアンジュエリーらしいデザインと丁寧な仕事ぶりが存分に
楽しめます。
年代 1800年代初頭頃
国 ヨーロッパ
素材 ダイヤモンド シルバー ゴールド
サイズ 約3.5cm×1.5cm(モチーフ部分)
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