アンティークのロニエットです。
フランスで1838年以降検査を受けた銀製品に打刻される
ホールマークを確認、製作年代はおそらく1800年代半ばから
後期にかけてと考えられます。
上流階級の女性が使用した柄つき眼鏡、ロニエット。
縦長のケース内に折りたたまれたレンズが収納され、
レンズ展開時はケース下部が柄となる構造です。
ケース部はシルバーに、ブルーのエナメルで花模様が
描かれています。
驚くべきはその彫り模様の緻密さと、バリエーションの
豊かさです。
大小の点々、髪よりも細い筋、ある個所には葉が、また
ある個所には小花を思わせるモチーフが。
中央を飾るバラやすみれの花周りから、ケース縁に至るまで
表裏全面を細やかな彫りが埋めつくしています。
シルバーの平らな面が覗くのは、イニシャルの類を刻む
目的でしょうか、僅か4ミリ四方のエンブレム風スペース
のみ。彫りはエナメルの下にまで及び、鮮やかなブルーを
通しうっすらと透けて見えるのです。
本体横の小さなレバーを押下するとレンズが飛び出し、
二つ折りにしまた収納する。
そのスムーズな操作性は確かに実用品でありつつも、
貴婦人が持つに相応しい装飾性はジュエリーと呼んでも
差支えがないほどです。
エナメルに若干の欠損が見られますが、作品全体の
クオリティーに影響はない程度と考えます。
年代 1800年代中期〜後期頃
国 フランス
素材 シルバー エナメル
サイズ 約8.8cm×2cm(カンの部分を含む)
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