1900年代初頭頃製のブローチです。
当時イギリスはエドワード七世の在位期間
(1901年〜1910年) であったことから、その頃の作品は
"エドワーディアンジュエリー" と呼ばれています。
一般的に軽やかな色合いや作風、金属素材プラチナの
台頭がその特徴として挙げられますが、前君主
ヴィクトリア女王の治世は六十年にも及ぶ長期間。
また同時代のアールヌーヴォー、後に続くアールデコ
といった世界中を席捲するほどの芸術運動や様式の
影響も強く、一見してエドワーディアンと認識できる
以外にも、前時代のテイストや他スタイルの混在した
作品も多く残されています。
モチーフは葡萄でしょうか、果実をターコイズで表現、
葉にはパールをあしらい輪をかたどった今作。
珠を半分にカットしたハーフパールを金色の地金に
埋め込むようなセッティングは、1800年代後期に
人気を博したヴィクトリアンのハーフパールジュエリーの
流れを汲んでいます。
とはいえ例えばターコイズを留める爪の細やかさや、
ブルー×ホワイトの爽やかで明るいカラーリングは
非常にエドワーディアンらしいといえるでしょう。
何より透かしや繊細さが際立つリースやガーランド
(garland=花綱)も、エドワーディアンジュエリーには
欠かせないモチーフ。
直径2センチほどの中に、大いなる時代の移り変わりを
内包した興味深い作品です。
裏側に "9CT" の刻印があります。
年代 1900年代初頭頃
国 イギリス(推定)
素材 ハーフパール ターコイズ 9金
サイズ 直径約2.2cm
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