オニキスのブローチです。
19世紀後期の作品と推測します。
故人を偲び着用するモーニングジュエリーと、
主にワンカラーのファッションジュエリー。
当時の黒色の装飾品にはその二種が混在しており、
今作は描かれるモチーフから服喪のそれと判断できます。
つやつやとしたブラックオニキスの中央に浮かぶクロス、
その両脇に添えられているのはオーク(楢)リーフです。
クロスは言うまでもなく、永遠や信仰を意味するオークも
また、追悼のモチーフとしてモーニングジュエリーに
多く用いられました。
モチーフを飾るパールは涙の象徴。
小ぶりなサイズながらもパール特有のやわらかい光沢と
上品な白さがしっかりと目に届くのは、さらに繊細な
爪で丁寧に留めているからでしょう。
シードパールと、葉にはハーフパールも使いつつ
凹凸を抑え、高さをほぼ均一に揃えているため、横からの
眺めも、指先で触れた感触も大変になめらかです。
モーニングジュエリーとして、またヴィクトリア時代の
流行に倣いファッショナブルなブラックジュエリーとして、
用途を限らずご着用いただけます。
年代 1800年代後期
国 イギリス(推定)
素材 オニキス パール ゴールド
サイズ 直径約3cm
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