アンティークのブローチです。
サークルとクロスを合わせたケルト十字のモチーフから
スコティッシュジュエリーだと考えられます。
十字先端の三つ葉型は、ケルトやスコットランドに
関わりの深いモチーフの一つ。
刻まれている装飾的な植物模様もまた、スコティッシュ
ジュエリーを代表する柄です。
クロスを彩るブルーエナメルの下からは、シルバーの地金に
彫られた模様がうっすらと覗きます。
その技法はエナメルジュエリーにはめずらしいものではなく、
例えばロシア帝国を代表する宝石商ファベルジェの
作品であれば、緻密な彫りと鮮やかな色、柄の透け具合まで
完璧に計算されているでしょう。
今作は彫りも浅く不ぞろいで、少々エナメルの色が濃いのか、
厚みも関係しているのか、角度をさまざまに変え初めて、
彫りが施されていることに気が付くほどです。
しかしながらその手作業による素朴で、拙さすら感じさせる
自然な仕上がりが、あたかもスコットランドの雄大で
力強い風景を象徴しているかのようで、大いに好ましい
魅力として伝わってくるのです。
エナメル表面の小キズもまた、年月を経たシルバーの
渋みと相まって、アンティークのスコティッシュ
ジュエリーらしい趣を感じさせます。
年代 1800年代後期頃
国 イギリス
素材 エナメル シルバー
サイズ 約6.4cm×4.1cm
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