19世紀後期製、アンティークのリングです。
内側に彫られた
"In Loving Memory of my Mother at Rest July 3;1880
(母を偲んで 1880年7月3日)"
の文言は、このリングが家族への愛情と追悼の意を込めた
モーニングジュエリーであることを示しています。
イギリスの18金ホールマークも残る、ヴィクトリアンの
作品です。
ブラックエナメルの中央に煌めくダイヤモンドには、
オールドマインカットが施されています。
小さく厚みのあるテーブル面と、裏側の切り落としたような
先端が特徴的な、アンティークならではのカットです。
地金に埋め込むセッティングにもかかわらず、キラリ、
キラリと力強く、目に飛び込まんばかりの輝きを放つのは、
味わい深いカットに加え、透明度、大きさといった
石自体のクオリティーの高さも手伝ってのことでしょう。
漆黒に沈むことなく、かえってそのコントラストが
あざやかなまでに際立ちます。
19世紀半ば、モーニングジュエリーはヴィクトリア女王の
服喪に倣い世に広がりをみせました。
後期になると、より厳格な喪の決まり事から離れ、少々の
装飾性や記念性も許容されていたといいます。
故人に因むものや、植物を取り入れた凝ったモチーフも
多い中、今作品は非常にシンプルなデザインです。
しかしながらダイヤモンド、エナメル、心地よく指に
フィットするゴールド使い等、全てが美しく重厚で、
この削ぎ落とされた中に漂う静けさこそが、
モーニングジュエリーの本質だといえるのかもしれません。
年代 1880年
国 イギリス
素材 ダイヤモンド エナメル 18金
サイズ 14号
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