アンティークのスティックピンです。
20世紀初頭頃、アメリカ製と推定します。
ゴールドのフレーム中央にパールを配したデザインは、当時の
美術工芸界で主流となっていた、アールヌーヴォー様式。
しなやかに流れるような曲線が、有機物に着想を得たであろう
特徴的なラインを描いています。
パールは少々扁平の丸型、なめらかな艶をたたえています。
ちょうどこの時期、それまでのハーフパールに代わり、
球状のパールがジュエリーに多く使われるようになりました。
パールの供給事情やセッティング技術の変化などその理由は
さまざまですが、今作品で最も優先されたのは、
「デザインとの整合性」でしょう。
形状、光沢、立体感。
地金に埋め込むようにセットし、凹凸を抑えたハーフパールと比べ、
丸い真珠はそれらがより直接的に伝わります。
控えめながらもしっかりとアールヌーヴォーの要素を取り入れた
デザインには、この自然な、あるがままの姿を呈するパールが
最も適した選択だったのです。
ゴールドの曲線が交わるポイントに輝くのは、一粒のシングルカット
ダイヤモンドです。
高さのある爪留めで、キラリと存在をアピールしています。
製作された当時、こちらのピンは、男性のタイや襟元を
さりげなく飾り、個性を演出していたのでしょう。
現代では男性はもちろん、女性にも、ブローチのように
楽しんでいただくことをおすすめします。
裏側に "10K" の刻印。
※ケースは付属しておりません
年代 1900年代初頭
国 アメリカ
素材 パール ダイヤモンド 10金
サイズ 長さ約6.1cm モチーフ部約1.4cm×1cm
当店ブログにて他の画像もご覧ください。