1900年代初頭製、アンティークのリングです。
リング内側 "WHH" のメーカーズマークから、イギリスの
金銀細工メーカー William Hair Hasler の作と考えられます。
Hasler社はイギリスを代表する高級デパート、リバティ商会と提携し
シルバーやジュエリーの製造で高く評価されたメーカーです。
繊細な金属細工と丁寧な仕上げで知られました。
中央にブルーサファイアを一石、その両側にダイヤモンド四石、
計五石をあしらった一文字リング。
サファイアは深く澄んだ青色をたたえ、ダイヤモンドには
オールドヨーロピアンカットの他、古いカットが施されています。
現代の計算されたブリリアントカットとはまた異なる、どこか
柔らかく温かみのある輝きが魅力です。
石裏側の地金は整然と開かれており、ダイヤモンド裏面の先端を
小さく切り落としたアンティーク独特のカットも確認できます。
地金は18金のイエローゴールド、ダイヤモンドの周りには
プラチナを使用。
白色の金属が石の輝きと透明感をより引き立てています。
台座の側面には、植物の蔓を思わせる渦巻文様が刻まれています。
Hasler社の作品の多くは、アールヌーヴォー、あるいは
アーツアンドクラフツ様式の影響を強く受けており、
このヴィクトリアン〜エドワーディアンにかけて流行した
クラシカルなデザインのジュエリーは、少々異色にも思えます。
しかしながら、たとえば渦巻のなめらかな曲線ひとつとっても
その卓越した技術力は明らかで、リバティ商会の新製品ラインを
任されるほどの力量が見事に示された、まさに「Hasler社らしい」
作品だといえるのです。
リング内側に残る "18" の刻印は、サイズ直しにより
消失したイギリス・バーミンガムのホールマークの一部だと
推定できます。
※ケースは付属しておりません。
年代 1900年代初頭頃
国 イギリス
素材 ダイヤモンド ブルーサファイア 18金 プラチナ
サイズ 9号
サイズ直しについて
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