ヴィンテージのクロスモチーフペンダントヘッドです。
1930年代から1940年代頃製と推定します。
十字のフォルムそのものに10石、チェーンを通すカンに1石、
合計11石のダイヤモンドをセット。
中央の一石は面数の多いラウンドカット、その他にはシングルカットが
施されています。
ダイヤモンドはそれぞれの直径が1.5ミリ〜2ミリほどと、
比較的小ぶりなサイズです。
それにもかかわらず、実寸以上に大きく、輝いて見えるのは
台座のデザインに理由があります。
クロスモチーフを正面から見ると、地金はホワイトゴールドです。
一方裏側から覗くのはイエローゴールドで、二色の金を合わせて
使用しているのが分かります。
これは、ダイヤモンドと共に視界に入る地金の色の効果を
あらかじめ計算しているから。
加えて台座を石よりも一回り大きく作り、わずかに波打たせ、
さらに高さのある爪で石を留めています。
この地金の凝ったつくりは、細やかで複雑な光を生み出します。
そしてその光が石そのものの輝きと溶け合い、増幅され、
結果ダイヤモンドの煌めきと透明感が最大限に引き出されるのです。
ジュエリー史においてこの頃は、アールデコからより現代的な
デザインへと移り変わる過渡期です。
大戦の影響も大きく、使用する金属や宝石の制限を受けながらも
時代に即したジュエリーがつくられました。
地金の透かしや石周りのデザインはまさにその工夫の表れです。
制限が「もの足りなさ」ではなくすっきりと、モダンな印象を
与えるのもまた、職人の努力の賜物だといえるでしょう。
※ケースは付属しておりません
年代 1930年代〜1940年代頃
国 アメリカまたはヨーロッパ
素材 ダイヤモンド ゴールド
サイズ 約2.9cm×1.8cm
当店ブログにて他の画像もご覧ください。