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アンティークのネックレスです。
18世紀から19世紀頃、イタリア製と推定します。
明るい朱赤のカーネリアン、白色の混ざるサードニクス等の
インタリオが全11ピース。
それぞれをシンプルな枠で留め、チェーンで繋ぎ、一連の
ネックレスに仕立てています。
各ピースの表面は淡黄がかった白色の層で覆われています。
この層は自然のものではなく、蜂蜜を用いた加工など
諸説ありますが、古代のカーネリアンビーズにも見られる
アルカリを加熱する技法によるとする説が、最も有力だと
考えられます。
白色に沈み彫りを施し描かれるのは、人物を中心とした
11種のさまざまな絵柄です。
花冠や草の輪を掲げる、春と花の女神フローラ、あるいは
勝利の女神ヴィクトリア。
松明を掲げた若い男性は、光をもたらす太陽神アポロン、
または婚礼の神ヒュメナイオスでしょうか。
美の女神ヴィーナスの聖獣である白鳥と、その世話をする
愛の神クピドの心温まる一幕。
自然の中で休息する美の女神ヴィーナスと、傍らで遊ぶ
息子クピドの姿は、定番の母子像です。
二本角のサテュロスがヤギに跨り、賑やかに宴を繰り広げる
酒神バッカスの祝祭。
叙情詩や愛の歌を司り、竪琴(リラ)を奏でるムーサの一柱、
エラト。
岩に腰掛けた、舞踏を表現するムーサの一柱、テルプシコラが
手にしているのは、大きく翻るヴェールなのでしょう。
森の精霊ファウヌスたちが、人間の演劇で使われる仮面を
興味深げに観察する、ユーモラスな寓意画。
祝祭と豊穣を愛するファウヌスが樽、あるいは甕にワインを
注ぎ入れる姿。
豊穣や平和を象徴する若き神は、植物の束を手にしています。
長い槍を持ち、丈の長い衣装をまとう知の女神ミネルヴァ。
古代ローマ美術の古典的名作に想を得たそれぞれの情景。
イタリアの熟練した宝石彫刻工房でひとつひとつ、丁寧に
彫り上げられたものなのでしょう。
全てに同じ表面加工が施されていることを考えても、
偶然集まったピースではなく、古代神話の壮大な世界観や
愛、美、豊穣、芸術への憧れといった、確固たるテーマに
基づき選択されたものであることがうかがえます。
当時、ヨーロッパの教養ある貴族たちが、見聞を広める目的で
行ったグランドツアー。
旅先の工房に立ち寄り、好みのルースを選び、自分だけの
物語を形として残したのでしょうか。
かつての旅人たちの知的興奮やロマンが伝わる、大変に希少で
贅沢な作品です。
古い時代のインタリオを後年ネックレスに仕立て直し、
専用のボックスをあつらえたものと考えられます。
インタリオに一部浅いヒビや欠けが見られますが、作品の
強度、クオリティーを損なわない程度です。
年代 1700年代後期〜1800年代初期
国 イタリア
素材 カルセドニー カーネリアン サードニクス
サイズ 長さ約40.5cm
インタリオ約2.4cm×1.7cm(最小)〜約2.5cm×2.8cm(最大)